« 新技術のワナ | トップページ | 手段の目的化 »

開発品のスイッチングコスト

研究開発の時のテーマの選定や進め方、戦略を考える際に、頭に入れて置かなければならない項目として「スイッチングコスト」があります。スイッチングコストという言葉は、マーケティング等に用いられる言葉のようです。(詳しくは検索してみてください。膨大にでてきます。)
前回も記載しましたが、研究開発で新しい技術を開発した場合、その技術が既存のものの置き換えであれば、置き換えには膨大なコストや開発が必要であるということです。このことを開発当初から意識して開発すると、後々が楽になります。私なら、スイッチングコストがかかりそうな研究テーマには近づきませんが・・・。(^-^;

例えばフレキシブルディスプレイというのがあります。方式は様々ですが、液晶や有機ELディスプレイの基板をガラスからプラスチックフィルムにすることで、柔軟性が出てきてフレキシブル性があるというものだとします。この場合は、基板をガラスからプラスチックフィルムにスイッチするわけですが、仮に実験室レベルでとても良いものができたとしても、製造プロセスにおいてはガラスは数百℃のプロセスを通りますが、フィルムはせいぜい150℃ぐらいまでしか耐えられません。そうすると、製造プロセスから開発する必要が出てきて、膨大な時間とコストがかかります。(少しデフォルメして語っているので正確さはかけますがご了承ください)

同じようにトランジスタをSiから酸化物系(透明かつ移動度が高い)にしようという試みもありますが、製造プロセスを開発したり、不純物の影響による他のプロセスへの影響、耐久性の問題などなど たくさんの問題が出てきます。よい結果が出れば出るほど、課題が発生することになります。私の経験では、スイッチングコストを度外視した研究開発には悲劇が待っています。私もさんざん泣いてきました・・・。crying
研究テーマを選ぶときには、ぜひともスイッチングコストということを頭に入れて考えてください。good


本日のポイント
・研究開発初期においてスイッチングコストの概念は重要
・研究レベルでできたものでも、製造するためにはさらなる開発が必要となる場合が多い。
・スイッチングのための手間をできるだけ減らす工夫をしながら研究開発をする必要がある。
・スイッチングコストのかかる研究開発は、国プロや大規模なプロジェクトで進める方がリソースの点からよい。
・スイッチングコストを無視できるぐらい、魅力的な結果があれば、スイッチングコストを考える必要なし。

人気ブログランキングへ

|

« 新技術のワナ | トップページ | 手段の目的化 »

研究開発の秘訣」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1126219/28744564

この記事へのトラックバック一覧です: 開発品のスイッチングコスト:

« 新技術のワナ | トップページ | 手段の目的化 »