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2009年8月

プロジェクタつきデジタルカメラ

ニコンからプロジェクタつきのデジカメが販売されるそうです。

ニコン社のキャッチコピー
いま居る場所がパーソナルシアターになる。みんなで楽しむプロジェクターカメラ。ニコンクールピクスS1000pj http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/style/s1000pj/index.htm

ただし、今日現在では注文殺到のため発売日が10月23日に延期されるそうです。http://www.nikon-image.com/jpn/news/info/info090831.htm

撮った写真をその場で、すぐにみんなでプロジェクタにて大画面で楽しめるというのがウリだそうです。確かに人気の出そうな商品です。注文殺到もうなづけます。

プロジェクタの仕様は【明るさ】 最大10ルーメン、【画面サイズ】5~40型、【投影距離】約0.26~2 m、【連続投影可能時間(電池寿命)】約1時間(EN-EL12使用時)、【解像度(出力)】VGA相当となっています。想像ですがプロジェクタ部はDLP方式でLED光源になっているものと思われます。

ニコン社の特許を特許庁のHPにて調べてみました。
出願人:ニコン と 要約+請求の範囲:プロジェクタ を掛け合わせてみると、7件ほど成立した特許が、公開段階では180数件が引っ掛かりました。これをみると、デジカメの他に、携帯電話やゲーム機とプロジェクタの組み合わせで出願されています。小型のプロジェクタを作る技術を開発し、さまざまな端末に応用していくという開発シナリオのようです。

今後、プロジェクタの性能が上がり、さらに小型化が進むと、情報端末との組み合わせは、新たな使い方を生み出し、さまざまなシーンに広がっていくはずです。想像もつかないような用途を提案してほしいですね。また、研究者、開発者、企画者であれば、小型プロジェクタ技術が数年後に進化したときに、どのようなビジネスが考えられるか? というように技術を待ち伏せして、ビジネスを考えることができます。このようなことを想像しながら、次の開発、企画を練るのも楽しいと思います。

今後の展開が、楽しみな技術です。wink

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EV走行距離10倍に道 リチウムイオン電極材料で単結晶 電池容量大きく(日経産業1面)

東北大学はトヨタ自動車などと共同で、電気自動車(EV)などに使う リチウムイオン電池の正極材料で単結晶を作ることに成功した。 単結晶の性質をうまく調整できれば、電池の容量を左右するリチウムの濃度を 大幅に高めることが可能。結晶の状態と電気特性の関係などについて研究が進めば、1回の充電で走れる距離を現行の約10倍に増やせる可能性もあるとのこと。

レーザー蒸着法により、1センチメートル四方のサファイア基板上に 厚さ0.1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの非晶質の コバルト酸リチウム膜を付けた。 成膜中にリチウムが抜けやすいため、原料にリチウムを多く加えた。 これをセ氏650度で1時間加熱すると。非晶質だったコバルト酸リチウムが、 基板表面と同じ方向に結晶軸がそろった単結晶に変化した。 加熱温度と時間の選択が良質の単結晶を得るポイントになった。

コバルト酸リチウムは酸化コバルト層が積み重なり、層間にリチウムイオンが挟まった 構造をしている。イオンが動いたり止まったりして電気を運び電池として働く。 層間にイオンをより多く蓄積させ、効率よく出し入れできるようにすれば 電池の性能が向上する。

http://company.nikkei.co.jp/news/news.aspx?scode=7203&NewsItemID=20090814NSS0001&type=2

コメント
レーザー蒸着は実験用としては手軽なのですが、量産性は全くないので、量産は別の手法で作成することになります。今回の結果はメカニズムの点で面白いです。メカニズムがわかれば、単結晶でなくてもいいかもしれませんし、配向だけでもいいかもしれません。その意味では大きな一歩です。
今回の記事は、材料研究の醍醐味のよい例だと思います。そして、新しい材料そのものを開発するのではなく、構造を制御する(単結晶にする)という手法です。
量産までには10年ぐらいかかりそうですが、楽しみな技術です。

れにしても、トヨタの発表として、基礎レベルでよく発表したなという印象もあります。もう少し、実用的になってから発表してもいいと思いますが、何かの戦略なのかもしれません。happy01


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材料研究の方向性2 (絨毯爆撃)

材料開発をどう進めるか?ということに関して、「理論的に設計して・・・・」ということもありますが、なかなかうまくいかないのが実情です。特に企業での開発の場合、時間との勝負ですのでできるだけ最短の工数で最大限の効果を上げたいと思います。

私のお勧めのやり方は「コンビナトリアル」です。コンビナトリアルとは組み合わせによる合成(生成)方法です。私の場合は、無機材料の開発なので、組成を振るのに、成長温度を振るのに、コンビナトリアル手法を用いています。これを用いると、例えば20種類の組成の材料を作るのにこれまでは1か月かかったところが、たったの1日でできてしまいます。さらに、いいことに1回の実験ですべての組成の成長ができるので、バッチごとの再現性の問題は全くありません!

このようなやり方は、東工大や東北大で積極的に進められています。
http://www.fcrc.titech.ac.jp/material-1/pdf/0405-17koinuma.pdf
http://www.kawasaki.imr.tohoku.ac.jp/

正当な(格調の高い?)コンビナトリアル法とまではいかなくても、材料をつくるときの成長温度にグラディエーションをつけて成長させると、温度依存性が得られたりします。私の場合だと、6インチウエハを加熱して膜付けをするときに、ウエハを加熱ヒーターに対して斜めに設置したりします。そうすると、加熱ヒーターから浮いているところは基板温度が少し下がります。このようなやりか手で進めれば、一度の実験で異なる基板温度で実験をすることができます。

実験を行う前にいかに効率よくやるか?ということを考えて、工夫して進めるというのが重要だと思います。そのために準備をしっかりやって、実験に臨む。(当たり前のことですが)

私が、コンビナトリアル手法が好きな理由は、人の(自分の)無力なところを方法で補ってくるれるところです。新材料の開発というものはなかなか理論通りにいかず、無力感を感じることがあります。そのためバッチ式で1つずつモノを作っていると、新材料の開発は偶然できればラッキーということになってしまいます。しかも一生をかけてもできる実験回数は限られている。しかしながら、コンビナトリアルはそのための偶然の確率を飛躍的に増やしてくれるます。

コンビナトリアル法は、バッチ式でなれた人には慣れるまでに時間がかかるように思います。しかしながら、面白い方法なので、概念だけでも取り入れて材料開発の確立を上げていってはどうでしょうか?good

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材料研究の方向性1

材料研究をどうやって進めるか? 画期的な新材料(たとえば、高温超電導や、凄い効率の太陽電池材料)を発見すればノーベル賞も夢ではないのですが、普通には無理です。crying

私の場合、自分の研究者の目標(企業でいう理念)として「材料の構造を制御して材料の性能を最大限に引き出す」ということを掲げました。その理念のもとに、研究開発で成功を収めることができました。

材料は既存の材料なのですが、薄膜にするときに特殊な構造になるように成膜しました。そうすると新しい光学性能が生まれてきて、あるデバイスに組み込むと、光学性能が約5倍向上するという!!!材料を開発しました。実際には精密な(世界最先端の)光学設計のもとに材料を形成しているのですが、やったことは、ありふれた材料をちょと変わった方法で成膜するというだけです。この材料をユーザーに持っていくと、すぐに飛びついてアッという間に実用化しました。

その他にも、結晶の構造を特定の方位にむけることで、その材料のある性能が1.5倍になることがわかったため、その方位に向けるための研究を進め、その結果を複数の企業に売り込むことができました。

いずれも、材料そのものの開発というよりも、構造の制御により、材料の性能を最大限に引き出しています。構造制御のために、材料研究そのものよりも材料を任意の構造に作るためのプロセスの研究が主になっています。

中村修二先生のGaNに関しても、材料自身を発見したのではなく、欠陥を含めた構造を制御して、再現性よく品質のよいGaNを作ることに成功したのです。新材料の発見ではありません。

このように、材料研究といっても、新規な材料を開発しなくても既存の材料の構造を制御して、その材料の魅力を最大限に引き出せれば、新しい用途が開けると思います。good

今日のポイント
材料の構造を制御して材料の性能/魅力を最大限に引き出そう!


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材料研究の面白さ醍醐味

モノづくりの研究の流れとして(私の身近なところでは)、材料研究→プロセス開発→デバイス開発→システム化→商品 という流れになるという話を以前しましたが、材料研究はその開発の流れの最も川上にあり、すごい材料ができてしまえば、その後の流れ、市場が大きく変わる可能性があります。少し、山師のようですが一発逆転のだいご味があります。

中村修二先生のGaNに関しても、ひとつスゴイ材料が出来上がると、その新しい用途が生まれ、新しいデバイス開発やシステム(たとえばブルーレイや照明など)開発がおこなわれ、さまざまな大きな市場が生まれます。
前々回記述した、緑色レーザーに関しても、光の波長変換素子やその材料開発が不要となり、小型化や低コスト化が可能となると予想されます。すなわち、これまで緑色のレーザーを作っていた人たちは、波長変換素子を使ってデバイス化していたのが、材料で緑色が実現されたため、その部分の仕事がなくなってしまいます。デバイス化で苦労していた部分が一気に解消されるようなイメージです。

このように、新しい材料はそのあとの工程を丸ごと変えてしまうようなインパクトを持つことがあります。さらには、従来にない市場が開ける可能性もあります。

一方で、世界を変えるような新材料の開発というのは容易ではありません。中村先生がノーベル賞候補だというのもそれだけ価値がある材料を開発されたとうことです。

このような難しい材料研究をどのようにしてうまくやるか? というのを次回以降(いつになるか?・・・coldsweats01)に書こうと思います。


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各種太陽電池の特徴

今月の雑誌Newtonに太陽電池特集があり、各太陽電池の特徴というのがあったので、私なりに少しアレンジして記載します。

「単結晶シリコン」:歴史ある太陽電池
長所:古くから使われていて信頼性高い。単独での変換効率は市販品では最高である。
短所:高価である。高温下での特性劣化が大きい。

「多結晶シリコン」:世界の主流
長所:単結晶品よりは変換効率は及ばないものの他方式よりも性能が高い。
短所:高温下での劣化が大きい。単結晶の次に高価。

「薄膜シリコン太陽電池」:開発が進む
長所:大面積モジュールの大量生産が可能。薄いので曲げる事も可能。半導体プロセスが適用でき加工が容易なので、シースルーも開発可能。結晶シリコンよりも高温劣化が少ない。
短所:多結晶品よりも効率が5%程度低い。

「化合物系太陽電池」:シリコン原料の供給問題と無縁
長所:シリコンの供給不足の影響を受けない。薄膜化可能。コストが比較的安い。
短所:多結晶品よりも効率が5%程度低い。CISタイプは希少元素のIn(インジウム)を使用している。毒性のある材料(例えばCdやSe)を使った物もある。

「色素増感太陽電池」:市場投入間近
長所:マルチカラーでインテリアにも利用可能。蓄電タイプも開発中。
短所:液体を使用しているため耐久性が課題。変換効率が低い。

「有機薄膜太陽電池」:かなり先の技術?
長所:印刷技術を使う事で、安価で大量生産可能。
短所:変換効率低く、市販品はまだ開発されていない。


コメント
それぞれの、長所、短所から使い分けが進む物と思われるが、当面はシリコン系が主流で、低コスト品として化合物系が使われると考えています。色素増感や有機系は強い光と高い温度のもとでの耐久性の解決がそうとう時間がかかるのではと思っています。
シリコン系は材料開発はほぼ終わっており、低コストプロセスやトータルのシステムとしての開発が進むと思っています。一方で化合物系は材料の研究開発も行われると思います。論文等を見ても、高効率化への指針が十分に分かっていないような気がします。また製造方法も十分にこなれていないと思います。そのため、化合物系でいい材料を低コストで作る事が出来たら、大きなビジネスチャンスがあると考えています。
色素増感や有機系は耐久性がクリアされないと、屋根の上には苦しいので、限定した用途で開発が進むと思います。その意味ではデザインや用途の開発は面白そうです。coldsweats01


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博士課程への進学について

出身大学に夏休みを利用して行ってきました。
先生と雑談していると、最近は博士課程に進学する学生が少なくて困っているとのこと。
確かに、地方の大学では深刻な問題かもしれません。某東京の大学であれば、学生は自然とあぐまるかもしれませんが、地方の大学の学生であれば博士課程に進学するのであれば、より良い環境を求めて東京の大学に行くような気がします。実際には、皆さん就職するようですが・・・・。
大学の研究開発の最先端では博士課程の学生の力が重要です。4年生の指導や大学院生の指導など現場を引っ張っていくのは博士課程の学生です。

「博士が100人いる村」のように、その後の就職などを考えると進学は躊躇してしまいそうです。

企業の研究の現場では、博士の研究の能力は必要だと思います。一方でコミュニケーション能力も必要であるし、さまざまな研究・開発に対応できる柔軟性も必要です。そのあたりを身につけている博士ならばかなり役に立つと思っています。

私自身は博士課程に進んだのは、一つの手段として進みました。手段というのはだれにも負けない専門を身につけること、他者との差別性を出すため(その他大勢にならないため)に進学しました。そのため、学位を取得するのはゴールではなく、スタート地点に立つためであるとの認識でした。

さて、先生からは博士課程に進学するメリットを今度学生向けに講義をしてほしいと依頼されました。せっかくの機会なので受けることにしましたが、どう説明するか? 大学院の学生に話をするとすると、短期的な話だけでなく、人生設計を含めた話をしたいと思っています。
秋ごろまでによく構想を練っておかなければ。good


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緑色レーザー

住友電工から緑色レーザーに関しての発表がありました。
http://www.sei.co.jp/news/press/09/prs750_s.html
http://www.technobahn.com/news/200907291600

従来、レーザーにて緑色を出すためには赤外レーザーを波長変換素子にて緑色にしていました。しかしながら、変換効率の問題や部材が増えるという事でコストが高く問題でした。
GaN系の材料で直接発光できるようなったというのは画期的な技術だと思います。

GaNで有名な中村修二先生も近いうちの緑色レーザーの開発を予想されていました。(2009年5月の記事)
http://www.shopbiz.jp/lf/news/33658.html

様々な技術の構築と進歩研究者の努力でで、ようやく出来てきたような気がします。発表は住友電工からですが、陰には沢山の研究者の力のおかげだと思います。

個人的には、プロジェクションテレビに利用してもらいたいと思っています。プロジェクションテレビは、消費電力、コストの点でLCDよりも優れているので、是非とも実現してほしいです。また、超小型のプロジェクションもありそうです。
(私は、プロジェクションのファンです.....。bleah
話がそれますが、プロジェクションの良さは安井先生が認めています。
http://www.yasuienv.net/EcoPremium/EPFlatTV.htm
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20071206/288928/?ST=green_it&P=2

緑色レーザーを使った商品が数年後には出てくる事を楽しみにしています。good

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