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2009年9月

すり傷への高い耐性をもつクリア塗装 トヨタ

トヨタからユニークな塗装の発表がありました。

トヨタHPより
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/09/09/nt09_0911.html

ヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、洗車傷やドアハンドル周りのつめ傷などのすり傷に対し、高い耐性をもつクリア塗装「Self-restoring Coat(自己修復性耐すり傷塗装)」を新開発し、近々発売予定のLSに採用する。
 クルマのすり傷は、塗装最表面のクリア塗装に負荷がかかり塗膜が破壊・変形することで生じるが、今回トヨタは従来のクリア塗装と比べ、塗膜が破壊されにくく、かつ変形した場合でも復元(*)するという特性をもつクリア塗装を新開発。これにより、特別なメンテナンスが不要で、すり傷による光沢低下を防止し、長期間にわたり新車購入時の色・艶の維持に貢献する。
 具体的には、本クリア塗装の材料である樹脂に、分子同士の結合を促進する特殊な分子を加えることで、複数の分子との結合をしやすくし、従来にない緻密な分子構造を実現。柔軟で弾性に富む特性となり、塗膜を破壊しにくくするとともに、光や酸に対する抵抗性、ならびに変形回復性を一段と向上した。

ちょっとした傷を治してくれるとすると、車好きにはとてもいい技術だと思います。
(私の場合は、少々の傷でも気にせずに乗っていますが・・・)

トヨタ×塗料×傷のキーワードで特許を調べてみるとそれと思われる複数の特許が出てきました。明細書の中には、「・・・・耐擦り傷性及び擦り傷の復元性に優れた水分散スラリー塗料・・・・」という言葉があるので、今回の発表のものと関連すると思われます。比較的新しい技術のようで、最新の技術を導入したようです。特許の件数自体はあまり多くないので、他社も権利範囲を逃れて同じような塗料を開発してくるかもしれません。


詳細な技術は専門外なのでコメントできませんが、技術開発の方向性として「自己修復性」というのは面白いです。少し関連して亀裂を修復するセラミックスなんていうのもあります。
http://venturewatch.jp/nedo/20070124.html
安全、安心をキーワードとしたときに材料開発にもそのような機能が求められているようです。


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携帯電話を体温で充電(swissinfo.chより)

熱電発電関連のニュースです。

swissinfo.chより(http://www.swissinfo.ch/jpn/front.html?siteSect=105&ty=st&ref=fb&sid=11228868

9月16日、「2009年スイス・エレクトリックリサーチ賞」が発表された。受賞したのはヴルフ・グラッツ氏で、賞金2万5000フラン ( 約220万円 ) が授与された。連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) に籍を置くグラッツ氏は、人間の体温を利用して携帯電話の電池を充電できる発電機を開発した。
スイス・エレクトリックリサーチ ( swisselectric reserch ) 」によると、35歳のエンジニア、グラッツ氏は熱発電機の新しい製造方法を開発した。この発電機は熱源とその周囲の温度差を利用して電気を作る。
製造費を10分の1に抑える
グラッツ氏の発電機を使うと、例えばセントラルヒーティングや自動車のエンジンの余熱から家事や自動車用電子機器に必要な電気を得ることができる。車ではこの方法でガソリン代を約1割節約することができるという。

この記事からだと、材料や作り方が書いていないので詳細な事は分かりません。
大きな利点としてはフレキシブル性と製造コストが従来の1/10であるという事です。実際に従来と比較(何と比較するかが問題ですが)して、格段に安くなるのであれば全く新しい用途での実用化がありそうです。
なお、日本国内でもフレキシブル熱電発電というのは研究されています。
参考:
http://home.jeita.or.jp/ecb/material/No004.pdf
http://www.tech.nedo.go.jp/PDF/100006793.pdf

いずれにしても、期待したい技術です。good

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最適化のワナ!

材料研究の場合、「最適化」という言葉でモノを考えない方がいいです。
若い人、時にはおじさん?も、報告資料に「今後の予定として***に関しては最適化する」なんて言葉を書いています。研究の初期段階で最適化を考える必要はないです。このような言葉を書いて、うまくいった研究はあまりないです。

ある装置で作ってモノができるのであれば、その条件の最適点を求めるのではなく、モノができるメカニズムや条件の普遍化が研究としては必要です。材料開発でも最適化する前に、普遍化してメカニズムから考える必要があります。

何かある条件がトレードオフの関係にあり、それぞれの間を取るという最適化は最もやってはいけないと思います。研究者であれば、トレードオフの関係を外すためにどうするか? それぞれがandが取れるようにするにはどうするかというのが仕事です。特に、結果の出ていない人・研究者の報告書の今後の予定に「最適化する」という言葉が多いです。逃げの言葉として使われているようです。

最適化が必要なのは、量産になって材料、装置やプロセスが決まってからで十分です。

今日のポイント
「最適化」という言葉を使うときには注意が必要
トレードオフや結果が出ない苦しさから逃れていないか?ということを考えるべし。
最適化をする前に、普遍化、メカニズムをよく考えること。


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狩場の変化(サラリーマン状況の変化)

ここ数カ月会社内で早期退職などのリストラがあり、人間ウォッチをしていました。

昔は結構仕事ができていた人でも、時代の流れとともに専門の研究分野が陳腐化し、新しい研究分野に適応できずにリストラ候補になっている人がいます。
その状況は、昔は狩をする「ライオン」だったのだけども、狩場の変化で、獲物が取れなくなった状況と似ているのではと思っています。
状況として、インパラを狩っていたのが、その群れはいなくなり、より狩のしにくい動物になったり、全く草食動物がいなくなり、狩ができなくなっているような、・・・。あるいは、ライオンの足が年とともに衰えてシマウマを追いかけられないのか・・・・。

時代の流れとともに「ライオン」自身が変化し、嗅覚を良くして狩の精度を上げるか、狩のスタイルを変える(研究分野を変える)必要があるのか、より狩のしやすい場所に移動(転職)、さらには肉食から草食へ(研究者からマネジメントへ)変わる必要があるのか・・・。

一方で、時代が変わっても狩に関して普遍化できていれば、どんな獲物でもとらえることができると思います。実際に異分野でもすぐに適用している人もいます。

いずれにしても時代の流れを読んでどう動くか?ということを考え続けなければいけないと思います。


サラリーマンの一生を狩であらわしたのですが、わかりにくかったですかね~(笑)。

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アイデア創出法:奥義4 歴史に学ぶ

奥義四:「歴史に学ぶ」
 
昔の方がよかったことはないですか? 

昔のモノはこうだったが今はこうなっている。

しかし、よく考えてみるとある部分は昔のモノの方がよかった などといったことをリストアップします。

例えば、 

炊飯器 → 釜(おいしく炊ける)

掃除機 → ほうきと塵取り
(電気なし、隅々まで掃除できる)

電話、FAX、メール → 電報、鳩?

水道水 → 井戸水が安全に飲めた

PC、計算機 → そろばん

自動車 → 自転車 → 徒歩

考えてみればいろいろあります。

便利になったものもありますが、何か失ったものもあると思います。
水道水などは、安全に飲めるようになったのですが、おいしさが犠牲になったようですね。その分昔は、ミネラルたっぷりのおいしい井戸水がありました。最近は、それをビジネスにして水のペットボトルが販売されていますよね。bleah
自動車にしても便利になった分、運動不足という問題があり、わざわざ自転車や徒歩を選ぶ場合もあります。

昔の良かった所や、便利になって失ったものを考えることでヒントになると思います。

また、いつかに続きます・・・・。

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BMWのプラグインハイブリッドのコンセプトカーに熱電素子

BMW社がプラグインハイブリッドのコンセプトカーを発表したそうです。

Tech-Onよりhttp://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090831/174768/
ドイツBMW社は、プラグインハイブリッド車のコンセプトカー「Vision EfficientDynamics」を発表した。「M」シリーズ並みの高い動力性能と、小型車レベルの燃費・CO2排出量の両立を目指した2+2シーターのスポーツカーだ。ActiveHybrid X6」と「ActiveHybrid 7」に搭載するハイブリッドシステム「ActiveHybrid」の技術的な可能性を示すデモカーという。

中略

軽量化や空気抵抗の低減のほか、燃費を低減するため、排ガスの熱を利用して発電する「Thermo-Electrical Generator(TEG)」を採用した。金属ベースの熱電変換素子を用いて、温度差を電圧に変換する。「5シリーズ」に搭載して試験した結果、最大で 200Wの電力を発電できたという。

車に本格的に熱電変換素子が搭載されるようになったようです。関連記事として 2009/6/24 BMWと東芝 エンジン排熱発電開発へ
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200906240073a.nwc
といのがあります。

さらに、東芝関連の記事に、Tech-On「東芝,熱電発電システムで太陽電池に対抗」2008/2/15

東芝は,熱電変換素子を使って工場などの廃熱を電力に変換する発電システムを「nano tech 2008」で展示した。単位面積当たりの発電量が太陽電池よりも多い点を生かして,工場などへの設置を目指す。150℃以下の低温域の排熱を利用するために,熱電変換素子の材料としてBi-Te系を選択した。既存のBi-Te系熱電変換素子よりも特性を高めるために,電流方向に結晶方位をそろえている。具体的には,Bi-Teに微量のSeとSbを添加した後,一方向凝固法でp型とn型の半導体材料を製造した。材料の特性を示す無次元性能指数(ZT)の値は1.0〜1.1で,温度差100℃の場合の熱電変換効率は3.6%になる。

これらから考えると、BMWに熱電材料として実績があり、比較的発電効率の良いBi-Te系の材料が搭載されているかもしれません。あるいは、温度領域によって別の材料と組み合わせて使っているかもしれません。実際に特許を調べると東芝は、有害物質を全く含まないか極力低減した熱電材料の一つとして、MgAgAs型結晶相を有するハーフホイスラー化合物というのを使ったシステムでの特許を車用に出願しています(例えば【特開2009-081287】)。実際にどの材料がのっているか分かりませんが、最大で200Wしたとあるので、システムとしてかなりよいものだと思います。また、熱電材料の研究開発がもっと盛り上がって、よい廃熱利用法として確立することを期待します。good


参考URL:Bi-Teの自動車への応用のプロジェクト http://www.eccj.or.jp/thermoelectric/head-top.html


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