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2010年8月

SEDと液晶と技術のすそ野 ~ キヤノン SEDテレビ断念 ~

今週は予想はされていましたが、びっくりしたニュースがありました。
キヤノンがSEDテレビの販売を断念したというニュースです。
特許問題で米国のパテントトールと争い、東芝が撤退し・・・、最近は厳しい状況が続いていましたが、ついにギブアップということです。
私は、この断念の大きな理由は、特許問題でなく、単にコストだけでなく、技術にあると思っています。

SED方式のディスプレイは、ブラウン管に近い原理で薄型で高速応答、高いコントラスト比であることが特徴でした。しかしながら、製造が難しくて歩留まりが上がらないという噂がありました・・・。

SEDの開発が始まった1990年代後半から、さまざまな方式のディスプレイが提案されてきました。液晶以外にも、プラズマやプロジェクタ、SEDにFED、さらには有機EL、無機EL、日本碍子の圧電セラミックスディスプレイというのもありました。

今のところ、薄型テレビの一番の勝者は液晶ディスプレイになりそうです。私自身の考えとしては、液晶は1960年代から研究されており、その周りの技術の蓄積が膨大であり、2000年ころには、ガラス、蛍光管、偏光板、TFT、液晶の種類、カラーフィルタなどなどの周りの技術が大きく広がり、確実にコントラストを上げ、応答速度を上げ、面積を大きくし、欠点をなくしていきました。さらには、適切な競争のもとで、価格が大きく下がってきました。
実際にSEDが開発始まったころには液晶では40インチ以上の大面積ができないと言われていました。

もし、SEDの技術キヤノン1社(東芝も入りましたが)だけではなく、他の多くの会社と進めたらどうだっただろう?と思います。素晴らしい技術を囲い込んで独占するというのは、戦略的に間違っていませんが、1社だけで開発するにはあまりにも難しかったのではないかと予想します。途中から真空装置メーカーのアネルバを買収しましたが、タイミングが遅かったような・・・。

個人的には、技術のスジが見えた時点で、広く他社との協力を進めた方が良かったと思います。技術のスジを見ることができなかったのか、トップへ正確な情報が上がっていなかったのか、根性論だけで突き進んだのか・・・。

中の人の意見を聞いてみたいです。(誰かこっそりコメントください)happy01


今日のまとめ
新しい技術は囲い込みができて、売り出せれば大きな儲けのチャンス。一方で、囲い込むと周りの技術開発まで抱え込まなければならず、技術開発が遅くなったり、コストダウンが難しかったりのリスクをも抱え込みます。
技術のスジを見極め、抱え込みができないと思った時点ですぐに戦略を転換する必要があります。(まぁ、言うのは簡単ですが・・・・)


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参考記事は続きを見てください

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理系の博士課程への進学について

某大学(工学部)の先生から修士の学生の博士課程進学率が低いので、学生向けにセミナーを開きたいのことで、パネラーとして参加してほしいとの要請がありました。少し博士への進学を考えてみます。

まずは、超有名な「博士が100人いるむら」をどうぞ!
http://www.geocities.jp/dondokodon41412002/

私自身の経験と感想を述べます。ただし、工学系に限ることかもしれません。

私自身の博士をとるまでの過程は以下です。
大学修士→博士課程進学 無事3年で博士(工学)を取得しました。同じ研究室からは、前後の人を含めて、5人いたのですが、私と某大学の先生になった2人のみ学位を取得し、その他はいまだ学位を取っていません。
また、奨学金を借りて行ったので就職した時には約500万円の借金がありました。
卒業後は、大企業→ベンチャー→大企業と転職しており、いずれも研究開発をやっています。

【企業での博士の扱い】
・入社時には同じ年齢の修士卒の年度の人と同じ扱い。すなわち、修士卒ですでに3年間働いている人と同じ給与からスタートします。
・昇進には全く博士は関係ない。(実際に私の上司は2年間、私が学位があることを知りませんでした・・・・)
・研究開発のテーマにはつきやすい。専門にもよりますが、人事部としては、博士は自立した研究者とみなしています。
・博士でも使えなければ、陰口をたたかれ、移動させられます。企業としては当然だと思います。
・就職はあまりにもマニアックなテーマであれば厳しいかもしれませんが、物理や工学系のつぶしが利くようなテーマであれば不利にならないと思います。
・転職の際には、博士はかなり有利になると思います。

【企業内の研究者の気持ち】
いろんな人に聞いたところ、ほとんどがチャンスがあれば学位を取りたいと思っているようです。理由はいろいろあると思いますが、深く専門を持ちたい、博士の方が優遇されていると思っている、海外とのやり取りは博士がないとつらい、研究者として優れた人が博士を持っている、などなどの理由と思われます。

【博士研究員と修士卒研究員の違い】
私の感じた所です。博士研究員の方が、自立して課題をみつけて解決する、まとめる能力が高いように思います。しかしながら、著名な先生の下で学位をとった人の中には、先生から手厚い指導を受けすぎたのか、あまりレベルの高くない人もいらっしゃいます・・・。

【企業での学位の取り方】
・会社から行かしてもらう。これは、なかなかチャンスがないと思います。
・自力で土日に通う。これをやりながら、学位をとった人や現在進行形の人を知っています。自腹で行くので、3年間の学費を出さなければなりませんし、論文を書くのも大変です。私は若い人でパワーがある人には、このやり方を進めています。
・企業で論文を少しずつ書きながら、10年後ぐらいにまとめて学位論文を書く。このやり方で学位をとった方も知っています。現在は、学位をとるために大学に通う必要があるので、あまり通わなくてすむ大学を選ばなければいけないかもしれません。

【海外での扱い】
この部分は私はあまり経験ないので、私の周りだけの感想です。
・博士でないと、相手にしてくれない場合がある。(会ってくれいない場合があるようです)
・実力がなければ、博士であってもバカにされる。これは私の知っているシリコンバレーの企業は、博士であろうがなかろうが、実力だけで判断されます。シリコンバレーなので合理的なのかも・・・。

【博士進学に関して私の結論】
・将来にわたって研究開発の仕事をしたければ進学するのも選択肢です。ただし、テーマや分野がマイナーであったり、普遍化して利用できないようなものであれば、企業への就職は厳しいかもしれません。進学する場合は、できるだけ金銭的に無理のないやり方を考えてください。
・研究にこだわりがないのであれば、進学するとリスクが高いのでやめた方がいいです。
・私自身ちょっと後悔しているのが、博士の3年間に大学発の起業にチャレンジできれば良かったなぁと思っています。昔はそんな気にもなれなかったのですが、今はかなりやりやすい状況だと思います。

博士の就職の問題は大きな問題です。最近は不況のためか、大学のポストも人気があり厳しいと聞きます。一方で、3年間勉強して、世界に通用するような研究者になる、技術をお金に換えるような起業をするなど、さまざまな可能性もあります。現在から、未来にわたっての自分の可能性をどう考えるか、世界観をどこまで広げるかによって答えが異なってくるような気がします。

いずれにしても、人生を楽しく過ごしましょう!


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弁理士 菅直人

菅総理は元弁理士とのこと。びくりです!!!

Wiki:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E7%9B%B4%E4%BA%BA

テックオン記事(要登録)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100604/183235/

特許庁の電子図書館の公報テキスト検索にて代理人のところに「菅直人」と入力するとなんと、337件の特許がヒットしましたsign03

出願を担当している会社の中には、セイコーエプソン、松下電器、住友金属鉱山・・・、と大手企業もあります。かなり広範囲に仕事を進められていたようです。扱われている特許内容は、機械系や材料系と広範囲です。

最近では2009年の公開特許(出願は2008年)のものにも名前が上っていますので、政治活動をしながらも弁理士としてお仕事をされているようです。弁理士名の検索では菅直人さんはお一人なので、同姓同名の方はいらっしゃらないようです。

政治的なコメントは避けますが、理系らしく、論理的に日本を導いてほしいです。

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セミナー 「必ず成功する研究開発テーマの選び方」 を開きました。

先週、某企業にて、上記の題名に質疑応答を含めて2時間の無料セミナーをしてきました。昔からお世話になっている企業なので、何か恩返しをと思い本業の夏休みを利用して話をしてきました。

技術の話は全くなしで、変化の時代を生き抜くための研究開発の方向性、テーマの選び方をみっちり話しました。事例としてはだれもが知っていることを新しい視点から解説したので面白かったようです。

参加者からは、新しい視点、プライベートにも適用できそう、理念とノウハウがセットなのでいい、などの評判でした。
反省点としては、話し方として全体像を最初に話しておいた方がわかりやすかったかなと思いました。あと、1時間ちょっとしゃべりっぱなしなので、声がかれました・・・。

今回はあくまでも導入的な話だったのですが、これをもとに、企業や業界の分析を含めれば、いい研究開発の方向性が出せるはずです。

機会があればまた別のところでも話をしてみたいです。

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幸福の最大化 と 不幸の最小化

研究所である液体を使用しているときに事故になりかけたため、禁止にしようということになりかけました。

その液体は、研究開発にとっては必須のものなのですが、管理部門では危険なものは禁止してしまえという発想でした。

研究開発部門は、未来の幸福を最大化するために開発をしているのですが、管理部門は事故があると従業員が不幸になり、工場が止まってしまい生産どころではなくなってしまうので、直接利益に関係ない液体を使うのを禁止すれば不幸が最小化されると考えたようです。

この話を聞いて、政治の話と同じだなぁ~と私は思ってしまいました。
すなわち、企業の税率を下げて、国全体が儲かるようにする。一方で、企業の税率を上げて、その分福祉にお金を回して不幸を最小化する。 少し暴論かもしれませんが同じような構図だと思います。

結局のところ、研究開発での現場では、使わざるを得ない液体は使用するがその際の使用方法をできるだけ安全に行うが、方向でまとまりました。

さて、政治だと・・・・、社会福祉を厚くすることも重要ですが、国全体が栄えなければじり貧だし、社会福祉どころではないと思うのですが・・・。

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