技術情報

薄膜技術の研究開発動向 2019年春の応用物理学会より

薄膜技術関連の研究開発の動向を2019年春の応用物理学会の予稿集からピックアップしました。

以下のセッションになります。

6 薄膜・表面

 6.1 強誘電体薄膜
 6.2 カーボン系薄膜
 6.3 酸化物エレクトロニクス
 6.4 薄膜新材料
 6.5 表面物理・真空
 6.6 プローブ顕微鏡

それぞれの発表件数をまとめると、以下のような件数になります。

項目 件数
強誘電体薄膜 25
カーボン系薄膜 45
酸化物エレクトロニクス 45
薄膜新材料 37
表面物理・真空 6
プローブ顕微鏡 43
合計 201

 

材料の点から簡単にコメントします。

強誘電体関連はメモリからアクチュエータ、センサまで様々な用途があり盛んに研究されています。また強誘電体関連の材料の酸化物エレクトロニクスの中にも何件かあります。強誘電体材料のセッションでは、いわゆるPb系(PZTなど)の強誘電体よりも非鉛系の研究の方が圧倒的に多くなっています。産業界ではPb系の応用が主流なのですが、学術的には新しい材料とその物性の調査/研究が主流となっています。この部分に関しては別途述べていきたいと思います。

カーボン系の材料は、高い強度を持つDLC(ダイヤモンドライクカーボン)や窒化炭素などの研究、半導体材料としてのダイヤモンドに関しての研究が盛んです。

酸化物エレクトロニクスでは、以前は透明導電膜系の発表が多かったと思うのですが、今は多種多様になっており透明導電膜のほか、酸化物半導体、太陽電池、メモリ材料、Liイオン電池関連などの発表がありました。

薄膜新材料に関しては、色素増感太陽電池関連、液中プラズマによる酸化物膜の形成、断熱材料、金属系のセンサ材料、光触媒等々です。特にこのセッションでは薄膜の新しい作成方法に関しても発表があります。産業界としては新規な製法により大幅なコストダウンや性能アップ、さらには、従来出来なかったものが作成できるようになると価値が高いと思っています。学会ですので、その原理のところがわかってくると面白く期待しています。

以上

 

 

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古くて新しい熱電材料

このブログには「熱電発電」をキーワードに来る方が多いのでまた書いちゃいました!

熱電発電に関して、90年代以降様々な材料が開発されました。
スクッテルダイト系、クラスレート化合物、酸化物系などなど。

スクッテルダイト系の発見時にはちょうど学生だったときに周りが盛り上がっていたのを思い出します。
酸化物系に関しては、たしか超電導工学研究所での発見の流れだったような気がします。私も依頼されて初期の酸化物系の材料を評価しました。

さて、本題です。
先日、材料メーカーの方と話す機会がありました。
材料メーカーは国内のいろんなメーカーの材料を扱っているので何の材料のR&Dや量産化が進んでいるのかというのをよく知っています。
熱電材料に関しても最近は比較的多く出荷されているようです。

最近の流行りの熱電材料、その材料とは???


実は、BiTe系などの古いタイプのものとのことです。

新しいタイプの熱電材料の性能は旧タイプよりあまり進歩しておらず、安定性などで旧タイプが使われているようです。さらに、半導体デバイスの進歩によって、動かすものの消費電力が小さくて済むようになったため用途が広がってきたようです。

また、新しい製法も開発されており、より実用的になってきているようです。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/MAG/20140116/327764/?rt=nocnt


新しい材料でブレークスルーだ!!

とカッコよく言うのもいいですが、古い材料を新しい製法で、新しい使い方でという地道な研究開発も必要ですね。
温故知新ですね。

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コンピューターを着る

「ウエアラブルコンピューター」。今年はこの言葉が流行するかもしれません。
過去にもありましたが、徐々に技術が熟成されてきて、より実用的で、より軽く、より小型で、便利なものになりそうです。

有名なのはGooglグラスですね!
http://www.google.com/glass/start/
http://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Glass

そして昔からある時計タイプ!
http://gigazine.net/news/20130905-samsung-galaxy-gear/
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1312/06/news070.html


スポーツや医療・健康分野でも、ウェアラブル端末の実用化が進んでおり、ウェアラブル端末関連の世界市場規模は、今後3~5年間で最大約500億ドル(約4兆9500億円)と、現在の10倍程度に膨らむ見通しとのこと。
スマホの次のデバイスの核として多くのメーカーが開発を急いでいるようです。

眼鏡型が主流となるのか、時計型が主流となるのか・・・、あるいは別の形が出てくるのか、興味深いところです。

将来的には身体の信号を取り込んでデータ処理して、健康チェックや動きのチェックに利用されると思います。個人的には、便利ですが、監視されていて気持ち悪い気がしますね。

この分野のデバイスの進歩とともに、生活の仕組みも大きく変わる可能性があると思っています。
ビジネスに関しても、関連デバイス、ソフト、サービスなどなど様々な広がりがありそうです。

研究者としては、将来確実に広まる分野ですので先回りの特許が重要かもしれませんよ!!!

電子デバイス分野はまだまだ日本のお家芸だと思いますので頑張ってほしいです。

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透明導電膜の次の世代は?

テックオンで下記のようなタイトルの記事がありました。

「非ITO」などに熱い視線、展示会場のオープンシアターに人垣
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130530/284642/?ST=fpd

透明導電膜のITOに対して、ITOを使わないタイプとしてAgナノ粒子、Agナノワイヤ、Cuメッシュ、カーボンナノチューブなどがあり研究が進められています。最近でも富士フイルムがAgを使ったタイプの量産設備投資の発表をしていました。

ITOは基板に全面に成膜する方法でITOの抵抗を下げる研究が主でした。また、インジウムが希少金属であるため枯渇するのではということで代替材料が考えられており、ZnO系のものや、TiO2系のものが研究されています。
これはあくまでも気相成長でベタで膜付けするものです。

一方で、前述のAgを使ったタイプやCuメッシュというのは、全面の膜付けではなく細かいメッシュ状にするというものです。これは原理的には低抵抗の金属を用いることができること、メッシュの開口によって透過率を上げることができるなどの利点があります。さらに、金属なのでフレキシブルです。(ITOもかなりのフレキシブルなのですが・・・)
さらに、塗布法で大量に安価に製造できる可能性があり、コスト的に有利であると思われます。
課題としては、金属の酸化防止、メッシュなのでモアレなどの視認性などがあると思います。
このタイプは私が以前研究していたITO膜とは異なり、大きなブレークスルー技術だと思います。今後はこれらの応用商品がたくさん出てくると期待されます。

さて、結論ですが、透明導電膜としてのITOはタッチパネル分野では減っていくかもしれません。しかしながら、まだまだ配線自身が透明である必要である部分もあるので、なくなることはないと思います。
一方で、新しいタイプの透明導電膜はタッチセンサの増加とともに、ますます応用されて行くと思います。そして、それならではの応用デバイスが開発される気がします。

この分野はまだまだ研究開発の余地がありそうです。

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新しい熱電発電

ネットサーフィンしていて見つけました。

このブログには熱電発電関係のキーワードで訪れてくれる方が多いです。
ゼーベック効果を利用した熱電発電は面白い技術なのですが、いかんせん効率が低い。
ソビエトの時代に開発された材料がいまだにいいという・・・・。

さて、MEMS技術にて振動の力を利用してエレクトレットや圧電発電というのがありますが、それに近い技術だと思います。

http://wirelessbroadband.seesaa.net/article/203075054.html
http://www.ornl.gov/adm/partnerships/events/presentations/spark_thermal_energy_scavenger.pdf

ゼーベック効果を利用したものは小型化するのが難しいのですが、この方式でああれば、性能の良い圧電膜があればMEMS技術で加工できます。
小さい用途での発電に有利なのではないでしょうか。

この手の技術は日本が得意としているので、是非とも実用化してほしいところです。
頑張れ日本のモノづくり!!!

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各国の開発スタイル

最近、いろんな国の企業の方と開発で付き合うようになりました。
私の個人的な経験ですので、突っ込みはご勘弁を。

米国(シリコンバレー):新しい装置、新しい技術が大好き。それらを組み合わせてしかできない、凄いモノを作る。一方で量産には弱く、試作品段階で高く企業ごと買ってもらうようなイメージ。

ドイツ:きっちりと、重厚な設計のモノづくり。比較的日本に近く、どうでもいいところにこだわる。

スイス:ドイツと同じような印象だが、少しビジネスライク。

中国:人が多いだけに、中には天才もいる。人それぞれの印象。

韓国:スピード重視。それでいてポイントはおさえている。私のつきあっているところは、日本人が指揮している模様。

台湾:スピード重視で楽天的。それでいて、問題が起こった時の判断が早く、対応力はすごい。

日本:計画性はあるが、石橋をたたいて渡るような印象。どこの会社も判断が遅い。


こんな感じです。
日本の製造業は個別にはいい技術がいっぱいあるのですが、方向性を決めるのに時間がかかっている気がします。また、新しいアイデアを出すのが弱く、他社が動き出してから急いで動き出すような印象です。一つ一つの作業のレベルは高いです。

頑張れ日本の製造業!!!!

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原発に関する情報

http://smcjapan.blob.core.windows.net/web/faq.htm

http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/2406950.html

自衛隊のみなさん、東電のみなさん、関係者のみなさん、がんばってください。

技術者は自分ができることをやっていきましょう。


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水を使った太陽電池(熱電供給型太陽光発電モジュール)

NTTから面白い太陽光発電の提案がありました。

テックオンより(要登録)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20110222/189780/?ST=PV

関連論文(NTT DOCOMOテクニカルジャーナル)
http://www.nttdocomo.co.jp/binary/pdf/corporate/technology/rd/technical_journal/bn/vol18_3/vol18_3_057jp.pdf

この提案は、アモルファスシリコン太陽電池の不得意な光の波長である赤外光は水に吸収させ熱として得る(太陽熱温水器です)ものです。これにより、トータルとして太陽光の利用効率が高まるというものです。
さらに、水で太陽光を集光させるため少ない面積で高い発電量を実現できるというものです。

上記リンクの構造を見るとわかるようにとてもシンプルな構造です。このような発明は、従来技術の組み合わせなのですが、非常にセンスのいいものだと思いました。最近は、量子ドットなどの超最先端の技術を用いた太陽光発電の研究が世界中で行われていますが、この発明は目から鱗です。

テックオンによるとまだコストが高いとのことですが、より効率的なシステムとして近い将来に実用化されそうな気がします。

頑張れ日本の研究者!!!
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(続きはありません)


続きを読む "水を使った太陽電池(熱電供給型太陽光発電モジュール)"

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温泉×熱電発電の特許

最近、温泉での熱電発電の話題でこのブログに訪れる方が多いようなので、ちょっと特許を調べてみました。
特許庁のHPの公報テキスト検索での結果です。(2010年11月7日現在)

(要約+請求項:熱電発電)=459件
(要約+請求項:熱電発電)×(全文:温泉)=10件 

(要約+請求項:熱電材料)=613件
(要約+請求項:熱電材料)×(全文:温泉)=2件

上記のように、全文中に温泉というキーワードを含むようにすると大きく件数が減ります。
さらに、温泉というキーワードを請求項に含むものは、3件しかありません。

これからわかることは、熱電発電(材料)と温泉の組み合わせそのものは請求項になりにくい。すなわち熱電発電を温泉に利用するということ自体に発明性はなく、あくまでも全文の中で温泉にも使えますよ、というぐらいの記述であるということです。

一方で、ポジティブに考えると、熱電発電と温泉の組み合わせで、容易に考え付かないような、新しい効果や機能を言うことができれば特許になるかもしれません。


さて、技術的な印象ですが、熱電材料はいまだに効率が低いため、発電した電気で何か大きなものを動かすような用途には向きません。そのためあくまでも補助的な用途での利用が主となると思われます。材料発電効率アップが必須ですが、開発にもう少し時間がかかると思います。
同じ、地熱を利用するのであれば、地熱発電(Wiki)の方がずいぶん良さそうです。是非とも研究を進めて脱石油を目指してほしいです。

頑張れ日本の研究者!


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真空装置メーカーの戦略

テックオンに興味深い記事が載っていました。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20101015/186526/
(要登録)

アルバック社が材料ビジネスを強化するそうです。
『「装置とプロセス,材料をまとめたソリューションを提供できるのはアルバックしかない」という強みを生かして,事業を拡大する。』
アルバック社は、FPDの発展とともに大きく伸びてきた会社ですが、2年前のIRレポートに「ポストFPD戦略として、ターキーソリューション展開(太陽電池ビジネス)、材料ビジネスの充実、省資源・省エネビジネス開拓」ということで未来を見据えた研究開発を進めています。

私自身も装置メーカーは装置ビジネスだけでは行き詰る思っており、材料ビジネスへの展開は大賛成です。材料とプロセスをセットにすることで、強い知財を作り、装置の売り切りではないビジネスモデル、材料を継続的に売ることができるビジネスに展開できるからです。

私自身は研究用ですがアルバック社の真空装置をよく使っています。故障はほとんどしないし、装置の消耗品といっても何年かに一度数十万円んかかるぐらいで、全くビジネスとしては売り切りの形になっています。量産装置においても、それなりに24時間体制のメンテナンス契約などがあるにしても、故障は少なく、売り切りに近いと思われます。ホント装置売りだけではこの先じり貧が予想されます。

そこで、日本の得意分野である材料をうまく取り込み、装置とセットで売る。あるいは装置部分をブラックボックス化して材料のみを売るというビジネスを作ることができればいいと思います。
一方で、材料開発は時間がかかり難しい面もあります。そこで、大学などが開発した新材料を安く作る、大量に作る装置とセットで開発すれば面白いと思います。

頑張れ、日本のモノ作り!!!

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