イノベーションを特許から生み出す!

特許活用によるイノベーション創出の提案8 実例(2 セラミックスから食品へ)

さて、前回の続きです。

公的な特許検索の「特許情報プラットフォーム」から検索します。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

ここで、特許・実用新案テキスト検索を選んで、キーワードを入れていきます。
このキーワードの選定にはセンスが必要ですが、トライアンドエラーで試してみてください。

今回の事例は2000年当時の話ですので、時期を2000年以前の特許から検索しました。
コア技術 「粉砕」 ☓ 目指す業界「海苔」 ⇒ 45件 抽出することができました。

この中の特許を読んでいくと参考になりそうな特許として以下の様なものが抽出されました。
【出願番号】特願平6-34801 (22)【出願日】平成6年(1994)3月4日 (71)【出願人】 【識別番号】591018534 【氏名又は名称】奥本製粉株式会社

要約としては、以下のように記載されています。
57)【要約】 【目的】表面が滑らかであり、茹でると全体に透明感があって、うどん本来の適度なこしと良好な粘弾性が得られる。 【構成】オーストラリアン・スタンダード・ホワイト小麦が100%の中力小麦粉94重量部と、500ミクロン以下で平均が300ミクロンの乾燥海苔の粉末6重量部とを混合し、これに水29重量部を加えて、真空ミキサーにより140mmHgの低圧力下で脱気しつつ、10分間にわたって捏和して麺生地とする。この麺生地を、プレス圧を90~110kg/cm2 としたダイスによって径1.5mmの麺線に押し出し成形し、温度55℃、湿度80%の雰囲気中で15時間にわたって乾燥する。


この内容から、どうも粉末の海苔のサイズは平均粒径300ミクロン程度だとわかります。
さらに、この特許の課題は以下のように記載されています。

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭63-148949号公報に開示された方法では、海藻をペースト状にするために、クエン酸ナトリウム等の海藻分解剤を添加しなければならず、自然食志向や健康食志向の人々にとっては好ましいものではない。 【0008】また、この公報には、ペースト状の海藻を小麦粉に加えた麺生地を麺帯とし、得られた麺帯をこれを切り出すという常法によってうどんを製造する方法が開示されているが、このような方法によって得られたうどんは、柔らかいものとなり、良好な食感が得られない。 【0009】さらに、この公報には、デュラム小麦等にペースト状わかめと水とを加えて捏和して麺生地を製造し、得られた麺生地を変圧押し出し成形することによって、わかめ入りマカロニ製品を製造する方法も開示されている。 【0010】しかし、このようにして得られたマカロニ製品は、強力粉、あるいは強力粉と同様にグルテンの強いデュラム小麦等を原料としているために、海藻との一体感が損なわれ、固い食感しか得られず、うどんとは異なった食感しか得られない。従って、このようなペースト状海藻と小麦粉との原料によって得られた麺生地からは、良好な粘弾性および適度なこしがあって独特の歯ごたえを有するうどんは得られない。


どうも、食物に添加すると触感が良くない、余分な薬品を添加しなければならない という課題が有るようです。
さて、ここからが技術者の頭を使わなければならないところです。

課題が自社技術で解決できるか?
答えが見いだせそうか?

微粒化が得意な技術者であれば、もっと海苔の粉末を微粒化できると考えるでしょう。そして、その方法は****と既存のセラミックス技術を応用して考えてみることができます。
また、微粒子のサイズも300ミクロンと書いてありますが、セラミックスの世界では数~十数ミクロンの微粒化は容易に行われています。そいて、さらに微粒化すると食感とか、消化吸収の効果がどうなるかということを考えるといいことがありそうです。実際にはやってみなければわからないのですが・・・。

あとでわかったことですが、微粒化すると
・消化吸収がよくなる
・捨てていたクズ海苔が有効に使える
・何にでも添加することができて、新しい商品になる
などの効果があったようです。

このように、自身(自社)の技術を他の分野に適用することで一気に新しい分野の商品につながる可能性があります。

ぜひとも考えてみたい手法だと思います。

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特許活用によるイノベーション創出の提案7 実例(2 セラミックスから食品へ)

前回の富士フイルムの例は有名な例ですので、別の例を取り上げて見たいと思います。

知人のセラミックスの粉砕(微粒化)技術の専門家は、ある食品の粉砕(微粒化)分野に着目し、食品の微粒化に応用し、ある食品において吸収の良い素材、いままで廃棄していた素材の活用を見出し、新規事業を成功させています(2000年頃)。どちらかというとご自身のコア技術をもとに起業したようなイメージです。
知人はこの組み合わせに関しては、異業種交流会の場からのセレンディピティであるが、この事例を2000年以前の特許からの筆者が検索したところ、同様の結論を得ることができました。
個人の技術からスタートですのでSTEP1は自社特許ではなく、自身の保有技術になります。

STEP1 自分のコア技術を定義する ここが前回と異なります
   ↓
STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出
   ↓
STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
   ↓
STEP4 テーマの選定とシナリオ作成
   ↓
 実行

具体例を上げて図に示します。
Photo_2


次回はこの例を特許を検索して考えてみたいと思います。

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特許活用によるイノベーション創出の提案7 実例(1)

前回ご説明した、下記のステップを実例を上げて説明しようと思います。

STEP1 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
   ↓
STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出
   ↓
STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
   ↓
STEP4 テーマの選定とシナリオ作成
   ↓
 実行

わかりやすい例で、富士フイルムの成功事例を分析してみます。
ご存知のように富士フイルムはコダックの沈没に対して、写真事業からの転換に成功しています。
その説明はたくさんの記事がありますね。例えば。
http://biz-journal.jp/2014/07/post_5465.html
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO05711700V00C16A8000000/
http://www.sankei.com/special/nihonryoku2015/company/article13.html
http://matome.naver.jp
/odai/2142469145144777401


富士フイルムのIR情報から考えてみます。
https://www.fujifilmholdings.com/ja/investors/pdf/other/ff_presentation_20160329_001j.pdf

この中に、以下の図が有ります。
Fujifilm

これは、銀塩写真での基盤技術である粒子の分散技術をもとに、写真フィルムから化粧品にその技術を展開したいという図になっています。


STEP1 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
富士フイルムのコア技術として分散技術というのが有ると思います。
実際には、自社の特許を分析して抽出する必要がありますが、ここでは「分散」をキーワードとします。

   ↓

STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出
ここでは、銀塩写真の分散技術を「化粧品」に展開しているので、ターゲットとする分野を「化粧品」とします。
ここのキーワードは、進出したい分野、伸びが期待される分野、規制などが変わりチャンスがある分野など、様々な観点で選ぶことができると思います。

   ↓

STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
国内特許を請求項のキーワードで「写真」☓「分散」として検索すると、約9000件の特許が出てきます。
同じように、「化粧」☓「分散」で検索すると約5000件の特許が検出されます。
すなわち、化粧品分野において、何らかの分散技術が必要であることを示唆しています。
この5000件の特許をさらにキーワードで絞り、自社の技術が生かせる分野を探しいていく作業を行います。

   ↓

STEP4 テーマの選定とシナリオ作成
上記の作業から目指す市場が決まれば、技術をいかに開発して、技術的な差別性を利点に如何に市場に参入していくかということを考えるステップとなります。


今回の例は、非常に大雑把な例ですので、次回に別の例をご紹介します。
 

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特許活用によるイノベーション創出の提案6 やり方(1)

提案5からの続きです。

(1)のやり方である、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方を説明します。
自社技術を用いて新しい市場に展開する場合のやり方です。

公式は以下です。

「保有技術」☓「商品等のキーワード」≒ 「保有技術適用可能な商品」

「保有技術」とは自社の特許の中から選んだり、自社の技術シーズから絞り込むことが可能です。特許がない場合でも、技術者であれば自社の強い技術というのが何であるかわかると思います。
以前、「自社の特許を見る」というところで説明したように、特許の中には強みとなる技術と、さらに利益を生み出しているネタが含まれています。そして、ある程度の客観的な指標となります。特許になっていないものでも構いませんが、その強さを客観的に見る必要はあると思います。

そして、
「商品等のキーワード」というのは、将来期待できる分野、自社と関連のある隣の分野などのキーワードを抽出します。このキーワードの選択はセンスが必要かもしれません。

整理すると以下のステップになります。

STEP1 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
   ↓
STEP2 ターゲットとする分野/領域を抽出
   ↓
STEP3 キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
   ↓
STEP4 テーマの選定とシナリオ作成
   ↓
 実行


次回は具体例をあげようと思います。

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特許活用によるイノベーション創出の提案5 (技術経営に基づく2つのやり方)

ここまで、特許について説明しましてきました。

自社の特許を読むことで、自社のコア・コンピタンスがわかる。
すなわち、自社の強みがわかるということです。
その強みをどの分野に活かすか?
その強みをどう発展させていくか?

ということが重要だと考えています。
全く自社の既存の技術や市場に基づかなければ、飛び地のビジネスになりリスクが高くなります。
また、折角のいいアイデアでも社内で提案してもなかなか受け入れられないものになると思います。
(私自身、結構苦労しました・・・・)
このスタートを自社のコアコンピタンスから考えるというのが、ポイントとなります。


私は2つのやり方を提案したいと思います。
それは、以下の様なアンゾフのマトリックスを用いて考えます。

既存技術、新規技術、既存市場、新規市場の4つの中で、自社の現状は左下の(既存技術)☓(既存市場)のモノを作って売っていると思われます。
それを、特許の情報を利用して発展させていくというやり方です。

Photo_2


2つのやり方を提案したします。

(1)のやり方は、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方
(2)のやり方は、既存技術を用いて、さらにその技術を発展させていくやり方

それぞれ、例を上げて説明したいと思います。

つづく


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特許活用によるイノベーション創出の提案4 (特許に何が書いてあるか?)

特許に何が書いてあるか?

特許明細書に何が書いてあるかというのを以下に記載します。

①この発明は・・・に関するものである。(発明の属する技術分野)
②従来にはこのようなものがあった。(従来の技術)
③しかし、それにはこのような欠点(問題)があった。(発明が解決しようとする課題)
④その欠点を解決するためにこのようにする。(課題を解決するための手段)
⑤具体的にはこのようにする。(発明の実施の形態 実施例1、実施例2など)
⑥これによりこのような素晴らしい効果がでる。(発明の効果)

これからわかるように、従来の技術と課題とそれをブレークスルーするための発明の内容が書いてあることがわかります。

他人の特許を利用して、全く新しい発明(イノベーション)を生み出そうとするのが、これからの話です。
まさに「特許活用によるイノベーション創出の提案」ということになります。


つづく!

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特許活用によるイノベーション創出の提案 3 (自社の特許をみる)

自社の特許をみる

技術をもとに利益を上げている会社の場合、ほとんどが特許を出願していると思います。
知財を重視している大企業ですと、知財部が自社の特許の整理をして特許戦略や方向性などを考えている場合もあるかと思います。しかしながら、多くの企業では(私が見てきた大企業でも)、自社の特許が十分に活用されていないのではないでしょうか。

元キヤノンの丸島さんによると
「日本では現在、ものづくり産業が低迷しています。技術大国と言われながら、それが産業競争力の強化に結びついていない点で根深いものがあります。特に技術志向型である日本の企業においては、知的財産を活用した事業戦略・研究開発戦略・知的財産戦略の三位一体の経営戦略を実現することがグローバル競争で勝ち抜く唯一の手段であり、それを実現できる知的財産マネジメント人材は、まだまだ日本には少ない状況です。」
とのことです。
丸島さんのセミナーを受講させていただいたことが有りますが、私も知財の重要性を認識しました。

さて、
自社の特許からはいろんなことがわかると思いますが、私が自社技術を用いてイノベーション創出するために重要なのは、
自社のコアコンピタンス(核となる能力・得意分野)が何であるかということだと思います。
登録された特許には、他社を排他できる技術があります。そして事業や製品を差別化するためのコアコンピタンスが特許に記載されているはずです。それらは企業の収益性の源泉になる(なっている)はずです。

これらは、知財部に任せた分析ではなく、技術者と経営者が一体となって考えることが重要だと思います。
パテントマップを作っただけでは何ににもならりません。
自社の特許を見て、自社のコアコンピタンス(核となる能力・得意分野)は何かということを認識することが重要です。

すなわち、モノづくりに関係する企業の収益性はイノベーション創出力に関係します。
イノベーション力は現状の特許に現れているということです。
その特許から自社の強みを認識する必要があります!!!


次回以降、少しずつ具体的に説明していきます。

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特許活用によるイノベーション創出の提案 2 (特許情報の凄さ)

特許情報の凄さ

特許法の第1条では、「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」とあります。すなわち特許制度は、製造業においては、発明≒(技術的イノベーション)商品化につなげ、利益を上げるために重要な役割を果たす制度です。

特許は国内で、年間約30万件以上出願されています。
(特許庁HPより)

Photo


特許の中には、いわゆる「発明」が記載されているわけですので、国内でいろんな分野の発明がこの数だけ生産されていると考えられます。まさに発明の宝庫です!
約30万件というのは年間の発明の数ですから、過去20年ぐらいを遡ると600万件以上の発明を調べることができるということです。
30万件の中で自分の研究、開発、ビジネスに関連するものはその一部かもしれませんが、考え方やコンセプトなどは適用可能です。

これらは他人の発明ですが、これらを有効に活用して自身のイノベーションに繋げれないかと考えています。
少しずつそのやり方を解説していこうと思います。

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特許活用によるイノベーション創出の提案 1

研究開発/技術戦略部門の現場の嘆き

 企業のR&Dの現場では、新たな価値を生み出すために個々のレベルで、何を目指して研究するべきか、市場のニーズの取り込み日々考えて行動しています。しかしながら、事業部と関連しロードマップにあるテーマであれば開発すべき方向が明確であるが、基礎研究や開発の現場では、何を開発してよいのかテーマの選定に悩んでいるのが実情です。
 現場の声としては、「次に何を開発すべきか」、「市場のニーズがわからない」、「材料の研究をしているが、得られた材料の顧客のニーズを知りたい」、「保有技術のいい出口はないか」などがある。これらの悩みは多くの大企業、中小企業から聞こえてきており、各社の課題であると思われます。

続く

さて、
特許を利用したイノベーションの創出の提案に関して、適当に書いていこうと思います。
書く内容は完成していますが、どこまで続くかなぁ・・・・。頑張ります!

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